お尻の痛み・姿勢が変わる!車いすの座面高さ・奥行き「ちょうどいい」調整術
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「長時間車いすに座っているとお尻が痛い」「なぜか良い姿勢が保てない」と感じていませんか? その原因、実は車いすの座面高さや奥行きの「数センチ」の誤差にあるかもしれません。適切な座面調整は、お尻の痛み軽減や姿勢安定に直結します。
本記事では、車いすの座面高さ・奥行きが「なぜ重要なのか」を基本から解説し、今日から実践できる調整術を分かりやすくご紹介します。数センチのこだわりで、座り心地を劇的に改善しましょう。
先に調整ステップだけ知りたい方はこちらへジャンプ。
こんにちは、ストアディレクターのイシイです
私は、介護福祉士として4年間ケアワーカーを経験した後、現在はシーティングに携わり、10年目を迎えています。
これまでの記事では、お尻の痛みや骨盤後傾の原因、クッション選びのポイントをお伝えしてきました。今回はその中でも、意外と見落とされがちな「車いすの座面調整」について、その重要性と具体的な方法を3分で読める分量にまとめました。
- まさか「数センチ」!座面調整を見直すメリット
- 【調整術1】座面高さの「ちょうどいい」を見つける
- なぜ重要?「足底支持」と「坐骨への荷重」
- セルフチェック:膝と股関節の角度・大腿部の隙間
- 具体的な調整ステップ
- 【調整術2】座面奥行きの「ちょうどいい」を見つける
- なぜ重要?「骨盤の安定」と「背もたれ」の連携
- セルフチェック:膝裏の隙間と背もたれへのフィット感
- 具体的な調整ステップ
- 「ちょうどいい」を妨げるNG例と即効リカバリー
- 困った時は専門家へ相談を
- まとめ:数センチのこだわりで快適な毎日を
まさか「数センチ」!座面調整を見直すメリット
車いすの座面は、お尻だけでなく全身の姿勢を支える土台です。たった数センチの違いが、姿勢の崩れ、お尻の痛み、体圧分散の悪化、さらには腰痛や呼吸の浅さなど、さまざまな不調を引き起こす可能性があります。
前回の記事 もう我慢しない!“お尻の痛み”原因TOP3と車いすユーザーのための即効対策 で触れた通り、「局所的な体圧集中」や「骨盤の歪み」は、座面調整によって大きく改善できる課題です。快適な座り心地は、活動性の向上にも繋がります。
【調整術1】座面高さの「ちょうどいい」を見つける
なぜ重要?「足底支持」と「坐骨への荷重」
座面高さは、足の安定性(足底支持)と、お尻にかかる体圧のバランスに大きく影響します。
足裏がフットサポートにしっかり接地しない状態では、太もも裏が圧迫され、血流が悪化する原因にもなります。逆にフットサポートの位置が高すぎると坐骨への荷重が集中しやすくなり、お尻の痛みや床ずれのリスクを高めます。
セルフチェック:膝と股関節の角度・大腿部の隙間

1. 足裏がフットサポートにしっかり接地しているか
かかとが浮いたりしていないか確認しましょう。
2. 膝と股関節の角度
車いすに深く座った状態で、膝と股関節が約90度になっているか確認します。理想は膝頭が股関節(大転子)より「わずかに低い」位置(0〜2cm程度)です。そうすることで、正しい姿勢を保ちやすくなります。
3. 大腿部と座面の隙間
太ももの裏が座面で過度に圧迫されていないか、手を入れて確認します。指がスムーズに入るのが目安です。
具体的な調整ステップ
車いすにクッションを敷いて座った状態で、フットサポートの高さ調整を行います。
- フットサポートを下げてみる:足がしっかり接地できるよう、膝と股関節の角度を見ながら少しずつフットサポートを下げてみましょう。
- フットサポートを上げてみる:膝裏の圧迫が強い場合は、少し上げて大腿部への圧迫を軽減します。
- クッションで調整:フットサポートの調整だけでは難しい場合、薄手のクッションを追加したり、クッション自体を厚みの違うものに変えることも検討します。
【調整術2】座面奥行きの「ちょうどいい」を見つける
なぜ重要?「骨盤の安定」と「背もたれ」の連携
座面奥行きは、骨盤を安定させ、背もたれからの適切な支持を得るために欠かせない要素です。奥行きが長すぎると、お尻が前にずり落ちやすくなり、骨盤後傾を招きます。逆に短すぎると、大腿部の支持面積が不足し、姿勢が不安定になりやすくなります。
セルフチェック:膝裏の隙間と背もたれへのフィット感

1. 膝裏と座面先端の隙間
車いすに深く座った状態で、膝裏と座面先端の間に指2〜3本程度の隙間があるか確認します。これ以上隙間がないと、膝裏が圧迫されやすくなります。
2. 背もたれへのフィット感
深く座ったときに、背中が背もたれにしっかりとフィットしているか、腰部が丸まって「C字カーブ」になっていないか確認しましょう。
具体的な調整ステップ
- 座面シートの調整(車いすの種類による):一部の車いすには、座面シートの奥行きを調整できる機能があります。取扱説明書を確認し、適切な位置に調整します。
- 背中(背もたれ)の調整:背もたれが背中に合っていない場合、背もたれの張りを調整したり、腰部サポート用のクッション(ランバーサポート)などを活用して奥行きを微調整します。
- 車いすそのものを替える:調整機能がなく、身体に合っていない車いすを無理やり使い続けるのではなく、身体に合うものへと替えることも検討しましょう。
返信目安:翌営業日
「ちょうどいい」を妨げるNG例と即効リカバリー
座面高さのNG例
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フットサポートが高すぎる: 太ももが座面から浮いてしまう。
- 弊害: 坐骨に体圧が集中し、お尻の痛みや床ずれのリスク増。足が安定せず姿勢が不安定に。
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リカバリー: フットサポートの高さを下げる。フットサポートの調整機能がない場合は、座面クッションを敷いて高さを調整。
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フットサポートが低すぎる: 太もも全体が座面に強く圧迫される。

- 弊害: 大腿部の血流が悪化し、しびれやむくみの原因に。お尻が前方に滑りやすく、骨盤後傾を誘発。
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リカバリー: フットサポートの高さを上げる。フットサポートの調整機能がない場合は、クッションを薄いものに変え座面の高さを下げる。
※床ずれリスクが高い場合は、クッションを薄い物に変えるのはNG。車いす本体を変えることも検討しましょう。
座面奥行きのNG例
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長すぎる: 膝裏と座面先端の隙間がなく、膝裏が圧迫される。
- 弊害: 膝裏の血流悪化。お尻が前方に滑りやすく、体がずっこけ座りの姿勢になり骨盤後傾、背中が丸まる原因に。
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リカバリー: 背もたれと背中の間に腰用クッションを挟んで調整。座面奥行き調整機能があれば短くする。
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短すぎる: お尻から太ももにかけての支持面積が少ない。
- 弊害: 坐骨への体圧集中に加え、姿勢が不安定になりやすく、お尻が前に滑り落ちる感覚が生じやすい。
- リカバリー: 奥行きのあるクッションを使用する。座面奥行き調整機能があれば長くする。
困った時は専門家へ相談を
ご自身での調整は大切ですが、身体の状態や車いすの種類によっては、専門的な知識やツールが必要になることもあります。
「色々試したけど、まだしっくりこない」「もっと細かく調整したい」と感じたら、シーティング専門の販売店や福祉用具専門相談員、理学療法士、作業療法士などの専門家に相談しましょう。彼らは車いすの構造や身体の専門知識を持ち、最適な調整やクッション選びをサポートしてくれます。あなたの快適な座り心地を追求してくれるでしょう。
まとめ:数センチのこだわりで快適な毎日を
- 車いすの座面高さ・奥行きは、お尻の痛み、姿勢の安定、全身の快適性に直結する重要な要素です。
- 座面とフットサポートの高さは、足底支持と坐骨への荷重バランスに影響し、膝頭が股関節より「わずかに低い」位置が目安。
- 座面奥行きは、骨盤の安定と背もたれの連携に影響し、膝裏と座面先端の隙間が「指2〜3本」が目安。
- たった数センチの調整で、お尻の痛みや姿勢の崩れが劇的に改善される可能性があります。
- セルフチェックで「ちょうどいい」を探し、困った時は専門家を頼りましょう。
このブログが、あなたの車いす生活をより快適にする一助となれば幸いです。
次回予告: 集中力が2倍続く!在宅ワークの“美姿勢デスク”完全ガイド(12月12日公開予定)