体圧と血流のしくみ図解
友だちに共有する
「長く座るとお尻がジンジン」「赤みが残る」——原因は“体圧”と“血流”のアンバランスかもしれません。
本記事では車いすシーティングの基礎として、体圧が血流に与える影響を1枚図でわかりやすく解説します。
先に対策だけ知りたい方はこちらへジャンプ。
こんにちは、ストアディレクターのイシイです
私は、介護福祉士として4年間ケアワーカーを経験した後、現在はシーティングに携わり、10年目を迎えています。
この記事では、難しい生理学のメカニズムを、図解も交えながら3分でわかるよう簡潔にまとめました。
- 1枚図でわかる「体圧⇄血流」メカニズム
- 血流が低下すると起こりやすいトラブル
- “圧抜き”を成功させる3つのコツ
1枚図でわかる!体圧と血流の関係

-
体重が坐骨・尾骨に集中すると局所圧(体圧)↑
- 血管が機械的に圧迫され血流量↓
- 酸素・栄養が届かず細胞ストレス↑
- 圧が高ければ30〜90分で発赤、長期化で壊死→床ずれリスク

POINT:体圧は「圧×時間」で評価されます。圧が低くても長時間続けばダメージは累積するため、適宜姿勢変換は必要になります。
逆に短時間でも局所圧が極端に高ければ微小血管が閉塞しやすくなります。
血流が低下すると何が起こる

- 発赤・痛み(警告サイン)
- しびれ・感覚鈍麻(末梢神経虚血)
- 床ずれ(褥瘡)リスク上昇
- 冷え・むくみ(静脈還流低下)
特に、30分以上同じ姿勢で圧迫が続くと、毛細血管の血流が顕著に減少すると言われています。
いますぐできる!“圧抜き”3つのコツ
-
クッションで体圧分散
・エアセルやゲルはもちろん、高密度・低反発ウレタンも、モールド形状や大転子部位のサポートで接地面積を広げ、局所圧低減に高い効果を発揮します。
・骨盤保持機能で適切な姿勢をサポートするタイプも併せて検討しましょう。
-
定期的な姿勢変換(圧抜き)
・適切なクッションを使用することで体圧分散が図られ、局所的な圧迫リスクは大幅に軽減されますが、それでも長時間の同一姿勢は避けたいものです。
・そこで、完全に圧迫を解消するためにも、定期的な姿勢変換を心がけましょう。例えば、1時間に一度を目安に、前傾・後傾・左右荷重移動など10~15秒の「圧抜き」動作を行うのが効果的です。
-
車椅子の適切なセッティング
・特にフットサポートは、膝と股関節の高さが適切に調整されることで、坐骨への荷重バランスが安定し、お尻への負担を大きく軽減します。アームサポートなども含め、車椅子全体が身体にしっかりと適合しているか、定期的に確認し見直しましょう。
CHECK:“圧抜き”は座圧計がなくても発赤の有無でセルフモニタリング可能。赤みが15〜20分で消えれば概ね許容範囲です。消えにくい場合はクッション再検討を。
返信目安:翌営業日
まとめ:体圧×時間=血流低下リスク
- 体圧集中→血管圧迫→血流低下→組織ダメージ
- 対策は、下記の3本柱。
①クッションによる「体圧分散」
②こまめな「姿勢変換(圧抜き)」
③「車椅子セッティングの最適化」
- 発赤が持続する場合はクッション・姿勢の見直しを
次回予告: もう我慢しない!“お尻の痛み”原因TOP3と車いすユーザーのための即効対策(11月7日公開予定)